ホベルタ・サー | ブラジルに舞い降りた天からの贈り物

 

 

ブラジルに舞い降りた天からの贈り物
 ホベルタ サー ( Roberta Sa )

 


人生は誠に不公平である。などと愚痴ををこぼしたくなるほど 彼女の持つ天賦の才能と美しさは筆舌に尽くしがたい。この世で歌うために天から舞い降りたブラジルの歌姫 ホベルタ・サーをご紹介しよう。

 


<プロフィール>
出生名: Roberta Varella de Sa
出生日: 1980年12月19日
出生地: リオグランヂ・ド・ノルヂ州
紹介  : 9才の頃にリオに移り住む。幼いころは主にビートルズやロックを聴いて育った。18才の時アメリカに留学し合唱団で歌の勉強を開始する。リオに戻った後店員として働く傍ら、ジャーナリズムを学び、ボーカルのレッスンを続けていたという。2002年音楽教師の勧めでテレビのコンテストショー「Fama」に出場。これを切っ掛けに彼女のショーが開催され、さらに彼女が歌った「A vizinha do Lado」(ドリヴァル・カイミ作)が連続ドラマの主題歌に抜擢されるなど、一躍大衆の知るところとなる。2005年デビューアルバム「BRASEIRO」の大ヒットを皮切りに、ビッグ・アーティスト達との共演を重ね一躍MPB界 トップスターに君臨。2016年リオ・オリンピック閉会式にゲスト出演するなど名実共に国民的スターダムに上りつめた。


引用 : 百科事典 『ウィキペディア ポルトガル語版』より一部引用。
url:https://pt.wikipedia.org/wiki/Roberta_S%C3%A1

 

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現代ブラジル音楽のシンデレラ ホベルタ サー

 

 

冒頭のプロフィールでも紹介したが、ホベルタはデビュー間もなく、瞬く間に大スターへと成長した。身内に高名なアーティストがいた訳でも、特別,音楽環境に恵まれていた訳でも、血の滲むような努力をした訳でもないだろう。学生時代はレジ打ちのアルバイトをしながら勉学や音楽に勤しむ、普通の女性だったらしい。だが決定的に違ったのは1つ、天から与えられた抜群の歌声だった。きっかけはなんであれ、遅かれ早かれブラジル音楽の頂点を飾る運命にあった。現代のシンデレラ ホベルタ・サーの足跡をご紹介していこう。

 

 

ホベルタ サーの最新映像

 


まずは、御年37歳を迎えた彼女の近況を捉えた映像をご紹介しよう。円熟期を迎えた彼女の魅力は留まるところを知らない。曲はサンバ、パゴーヂの大御所 ジョルジ・アラガォンのヒット曲「Mutirao De Amor」。彼女はデビュー当初から幅広いジャンルをカバーしてきたが、今日まで貫き通したのはブラジルの魂。サウダージ溢れるパゴーヂの世界をご堪能あれ。

 

公開サイト検索キーワード:YouTube Roberta Sa - Mutirao De Amor

 

 

ホベルタを世に送り出した 伝説の名曲

 

  A vizinha do Lado (隣人)

 


プロフィールでご紹介した彼女の出発点とも言える ドリヴァル・カイミ作
「A vizinha do Lado」。TVの連続ドラマのテーマ・ソングに抜擢され大ヒットした記念すべき曲。私にとっても最初に手にしたアルバム「BRASEIRO」に収録されている思い出の曲でもある。おそらくホベルタにとっては忘れることの出来ないシンデレラ・ストーリーの出発点だ。この曲を歌う彼女の表情はひと際美しい。それではお気に入りのテイクを三つほどご紹介しよう。

デビューアルバム 「BRASEIRO」から



記念すべきホベルタのデューアルバム「BRASEIRO」。個人的にはこのアルバムが一番気に入っている。ホベルタ25歳の初々しい歌声が堪能できる傑作。伝統的なサンバを中心とした構成だが、アレンジも軽快でな誰にでも聞き入り易いソフトな内容。楽しさの中にもホベルタ抜群の歌唱力が楽しめる。


公開サイト検索キーワード:
Roberta Sa: A vizinha do Lado / Braseiro

ファン必携の ライブ映像 「PRA SE TER ALEGRIA - AO VIVO 」から



ホベルタ ファンには絶対お勧めのDVD。赤いドレスが素敵で楽しさ一杯のライブ映像に加え、ブラジルの一流アーティスト達との真剣勝負が楽しめる。ホベルタ自ら挑戦したのだろうか、彼女の武者修行時代とも言える貴重な映像が満載だ。ここでの"A vizinha do Lado"だが歌の方は文句なしの出来栄え。まだ舞台慣れしていないのか、たどたどしくも、その素人ぽさが堪らなく魅力的だ。ホベルタ29歳の作品。


公開サイト検索キーワード:ROBERTA SA | A vizinha do lado

最後はTVショーから

既に放送終了となったと聞いているが、超がつく一流アーティストをステージに招待し、トークと演奏を楽しましてくれる娯楽番組。スターの素顔が見られる楽しい番組だ。特徴だがゲストの女性は大抵ド派手なコスチュームで登場しファンの目を楽しませてくれる(ブラジルでは日常なのかもしれないが)。この日のホベルタも例にもれず驚きの出で立ちで登場する。デビューから5年、おそらく32歳の頃だろう 円熟の域に達した大人の彼女が楽しめる。またプロフィールで紹介した彼女を世に送り込んだ コンテスト・ショー「Fama」の風景もカットインされている。"A vizinha do Lado"だが、歌った後も演奏者へのリスペクトを忘れないお行儀の良さはいつもホベルタだ。コスチュームといい、大人びた立ち振る舞いといい、彼女の精一杯のファンサービスだろう。最後に見せたあどけない笑顔は普段の彼女に戻っていたが、それにしても何をしゃべっているのが全く分からず、その点は残念至極。
公開サイト検索キーワード:Roberta Sa no programa do Jo

 


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"A vizinha do Lado"のギターコードを概ねコピーしてみた。シンプルなオープンコードを選択しているが、メロディーが大変美しいのでこれで十分だと思う。むしろリズムに重点を置きしっかりビートを刻む事が大切。因みに1stアルバム、ライブステージでバチーダを刻むギタリスト Antonia Adnet(アントニア・アヂネ―)は有名な女流アーティストでホベルタの音楽制作に大きく関わっている(後期のジョビンを支えたギタリスト マリオ・アヂネ―のお嬢さん)。

 



・指板上 数字は2/4 拍数。
・指板下 数字はフレットの位置。
・○は開放弦。

 

 

武者修行時代 (2005〜2010 )

 


私が勝手にそう考えてるだけかもしれない。彼女が自ら臨んだのか、周りが彼女を放っておっておかなかったのか、とにかく実力派の超大物アーティスト等との共演が残されている。主だった顔ぶれを挙げると ヤマンドゥ・コスタ、シコ・ブアルキ、ネイ・マトグロッソ、ジョアン・ボスコ、カストロ・ネヴィス、アミルトン・ヂ・オランダ・・挙げれば切が無いほど次から次へとビッグネームが登場してくる。その時代の彼女を見ていると「一応スタートは切れたがこれからが正念場だ・・」的な貪欲さ、一種の凄味ともいえる空気を感じてしまう。その一方で、数年前までは雲の上の存在であった一流プレイヤーとの共演に緊張する初々しさも時折顔をのぞかせている。そんな時代のお気に入りの映像を幾つかご紹介しよう。

ヤマンドウ・コスタ & ホベルタ・サー



ジョビン作 お馴染みの名曲 "Modinha"。ヤマンドウ・コスタ、 ハファエル・ハベーロを始めとするショーロ演奏家が好んで取り上げる難曲。左記のDVDに収録されている事からおそらくホベルタ 24、5才頃の作品と思われる。余裕さえ窺えるヤマンドウの伴奏とは対照的に借りてきた猫のようにちんと座るホベルタが印象的だ。ヤマンドウの控え目なギターをバックに、息もぴったり合った素晴らし出来栄えだ。因みにホベルタの作品には以外にもジョビンの曲が少ない。


公開サイト検索キーワード:Roberta Sa e Yamandu Costa | "Modinha"

オスカー・カストロ・ネヴィス & ホベルタ・サー



2006年にスカー・カストロ・ネヴィスによって企画、制作された ジョビンのオマージュ作品。MPBを代表するトップ・アーティストが一堂に会し、ジョビンの名曲を次々に披露するといった、ブラジルファンには堪らない企画だ。曲はお馴染みの 「Brigas Nunca Mais」(もう喧嘩はしない)。バックのアンサンブルはオスカーを筆頭にテコ・カルドーゾ(fl)、マルセロ・マリア―ノ(bs)など最強の布陣が担当。Jazzyなボサノヴァをバックにデビューしたての瑞々しいホベルタの歌声が響きわたる、一押しの映像。

C/D盤 購入はこちら

公開サイト検索キーワード:Youtube Brigas Nunca Mais Roberta Sa

 


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ジョアン・ボスコ & ホベルタ・サー



ブラジルMPB豪華キャストを集め様々なユニットによるスタジオ・セッションを収録したブラジルファン必携の DVD "Joao Bosco 40 anos"。数年間のプロ生活を経て一回りも二回りも成長したホベルタ。バックを務めるのはショーロ界 最高峰と称される トリオ・マデイラ・ブラジル。この上ないコンディションの中、大御所ジョアン・ボスコとも自然に打ち解け、そしてリラックスした最高のコラボレーションが楽しめる。


公開サイト検索キーワード:Joao Bosco, Roberta Sa e Trio Madeira Brasil

 


 

作品の紹介

 


デビューしてから12年近くも経ったわりには、アルバムが少ない。量産を繰返すアーティストも数多く見かける中、ホベルタの作品は数こそ少ないが其々がしっかりとしたカラーを持ち、完成度の高い仕上がりとなっている。それではアルバムを追って、お気に入りのテイクをご紹介しよう。

アルバム 「 なんて奇妙で 素敵な一日」



2007年に発売された2作目のアルバム 「なんて奇妙で 素敵な一日 」。
彼女のイメージピッタリなショーロや打ち込み風エレクトリック・サウンドも収録されており、ひたすら爽やかなイメージの1作目とは趣を異にしている。その中でもご主人ペドロ・ルイスと彼女の共作"Janeiro"(ジャネイロ)は秀逸な逸品。パゴーヂ風ショーロと言うか、クラシカルで味わい深い旋律を彼女が見事に歌いきる、おすすめの一曲。


公開サイト検索キーワード:Janeiros [Roberta Sa]

アルバム 「SEGUNDA PELE」



2012年に発売された3作目のアルバム 「SEGUNDA PELE」。ハーイスピードで進化を遂げるホベルタ中期の最高傑作で、サンバから新感覚なMPBへの移行を強く感じさせる作品だ。夫ペドロ・ルイスの影響が大いところだが、彼女のルーツである伝統的なサンバも忘れないところがこの作品の魅力だ。ジャズ好きな私のおすすめは「Voce Nao Poderia Surgir Agora」だが、新しい世界に一歩踏み出した新感覚ポップスから"Pavilhao de Espelhos"をご紹介しよう。


公開サイト検索キーワード:Roberta Sa - Clipe "Pavilhao de Espelhos"

アルバム 「DELIRIO」



2015年に発売された4作目のアルバム 「DELIRIO」。シコ・ブアルキ、ジャキス・モレレンバウム、マルチーニョ・ダ・ヴィラといった大物アーティスト達をゲストに招いて制作された、注目の作品。前作とうって変わって彼女のルーツとも言えるブラジル古典音楽に回帰している。しかしながらアレンジ、アンサンブルが殊のほか美しく、全く古さを感じさせない。貫禄と言うか女王の風格すら感じさせる、力の抜けたホベルタの新しい世界が窺える。ご紹介するのは ジョビンの時代からMPBを牽引してきた重要人物シコ・ブアルキとのオシャレなデュエット ソング "Se For Pra Mentir" お楽しみください。


公開サイト検索キーワード:Roberta Sa Chico Buarque - Se For Pra Menti

 

 

最後に

 


駆け足でホベルタ・サーの足跡を辿ってみた。市井の平凡なお嬢さんが瞬く間にブラジルのトップスターに駆け上った。

 

それは単に女性としての魅力などではなく、天から授かった美声、そして心から音楽を敬愛してやまない彼女のメンタリティーに因るものだろう。

 

デビューから早12年、変遷を遂げてきた彼女だが一貫して底辺に流れていたのはブラジルの伝統音楽だった。

 

さいごに、私が最もホベルタらしさを感じるステージをご紹介して、お別れしよう。

 

曲はブラジル サンバシーンの重鎮エルトン・メデイロス作 "Pressentimento"。


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