ピシンギーニャの不滅の名曲
「Lamento」(哀歌) 今も尚多くのミュージシャンに
愛される哀愁漂う名曲
国民が音楽好きなだけではない。ブラジルは長きに渡って先人たちの遺産を継承し続けてきた世界有数の音楽大陸だ。
今日のブラジル音楽を語る上で欠く事の出来ない重要人物 ピシンギーニャ(PIXINGUINHA)と、今日まで受け継がれてきた彼の名曲「LAMENTO」
(哀歌)をご紹介しよう。
< プロフィール >
出生名:Alfredo da Rocha Vianna Filho
出生:1897年 リオ・デ・ジャネイロ生(1973年没)
経歴: フルート、サキソフォン奏者兼作曲家。14兄妹をもつ大家族の14男として生まれる。少年時代からの音楽の才能を開花させ、各地で演奏を行っていたとされる。彼はヨーロッパの影響を強く受けた伝統音楽ショーロやブラジル音楽の起源とされる アフロ・ミュージックを継承し、数々の名曲を発表してきた。そのピシンギーニャの普遍的なメロディーは後のMPB,ボサノバにも大きな影響を与え、現在に至るまで多くのミュージシャン、国民に愛されてきた。2001年にはピシンギーニャの誕生日に因んで4月23日が「ショーロの日」と制定された。
引用 : 百科事典 『ウィキペディア日本語版』より一部引用。2015年3月8日 (日) 14:11 UTC
url:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A3
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まずは LAMENTO(哀歌)を聴いてみましょうか
-- MPB4 --
ブラジルを代表する男性コーラス&演奏グループ
MPB4によるボサノバ風 LAMENTO をお聴き下さい。
MPB4の抜群のコーラスをバックにピシンギーニャの
映像も登場します。
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MPB4 - "Lamento" (Pixinguinha/Vinicius)
ブラジルの音楽、文化を今一度考えてみた
ノエル・ホーザやピシンギーニャといった1世紀も昔の音楽家の作品が
何故現代人の心を捉え続けるのか?今一度ブラジル音楽の歴史を
辿ってみた。
古くは16世紀からアフリカから連れてこられたアフロ系民族や先住民達によって、白人文化にはない独特なリズムが生まれたと言われている。更には18世紀以降 宗主国のポルトガル人に加え、多くのヨーロッパ、アラブ系の民族が押し寄せ彼ら祖国の音楽、とりわけクラシックや現代のポップスの源流である民族音楽が持ちこまれた。その後19世紀にはブラジル現代音楽に多大な影響を与えたショーロが誕生した。
ブラジル音楽は古くから現代音楽のリズム、メロディ、和声といった要素を備えおり、当時の大衆音楽が今日でも広く受け入れられる事に不思議はない。
他方で、ブラジル人のメンタリティーについて考えてみたいのだが私はブラジルでの生活経験はない。私の先輩で30年近くサンパウロでレストランを営んでいたA氏の言葉を要約してご紹介する。
「ブラジルは貧しい時代が長く、人と同じ事をやっていたのでは食って行けない。音楽でもスポーツでも他人にはないアイデア、テクニック、フィジカル(パワー、スピード)を常に追求する。打楽器1つ買う金が無い彼らは缶ジュースに米を詰めたり、木箱を切ってヤギ革を張りタンボリンを作ったりもする。彼らの創造力は殆ど貧しさから生まれたもので、その精神は習性みたいに今でも残っている」。そういえば、私もサッカーの神様ペレもボールを買う金が無く、グレープフルーツで練習していたから上手くなったという話を本で読んだ記憶がある。
植民地という不幸な時代に幸運にも音楽に恵まれ、自らのメンタリティによって絶えず改良を加え熟成させてきたのだろう。音楽に限った事ではないが長い時間をかけ継承、熟成を重ねた物に勝るものはない。ブラジル音楽は一貫した下地とそれを取り巻く長い歴史があったからこそ娯楽の域を超え、一国の重要文化にまで成長したのだろう。
アントニオ・カルロス・ジョビンの名に因んだ国際空港があり、今回ご紹介するピシンギーニャの誕生日が祝日に制定されている事からも窺える。
長い苦難の歴史をもつブラジルだが、その代償として貴重な財産を得る事ができた。それは振り返ってみれば歴史の悪戯、1つのラッキーだったかもしれない。
話は変わるが私はサッカー音痴で殆ど知らない。よく使われる「中盤」という専門用語だが、つい最近まで「中半が弱いのなら前半頑張ればいいじゃないか」と思っていた位無知である。未だに詳しくは知らないがサッカー世界1である事位は承知している。なにせ同じ人間の日本人が勝つと「奇跡」と呼ばれる位である。世界一の音楽大陸、世界一のサッカー大国 その関係性について考える事が多々あった。
そんな頃、ブラジルのサッカーチームが来日した。ロナウジーニョという選手(この選手は超がつく一流選手だそうだ)が成田空港に降り立った光景を今でも憶えている。驚いた事に彼は記者が殺到する中パンデイロを流暢に叩きながら登場した。単なるパフォーマンスではなく、それはリズミカルでプロ並みに上手かった。
リズム感の悪い選手は一流にはなれない?
私の頭の中で世界一の音楽と世界一のブラジルサッカーが繋がった瞬間だった。
19世紀時代のリオ・デ・ジャネイロ
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LAMENTO(哀歌)について
この曲はもとはインストゥルメンタルだったそうで、後にかのヴィニシウス・ヂ・モライスが歌詞を付けたと言われている。歌曲としてこれほど歌い継がれてきた事を考えればモライスの功績は大きいのだろう。
メロディは何とも言えぬヨーロッパの哀愁が漂う一方で、転調を伴うコード進行はジャズ的で現代を感じさせる不思議な曲。挿入部は「哀歌」という割には底抜けに楽しいメロディーである。
ハロルド・ロボの作曲で有名な「トリステーザ」(悲しみ)も歌詞の意味に反してメロディーは楽しく、明るい。ライブなどでは観客総立ちで唄って、踊り狂う訳だが この件につても前述の先輩曰く「つらい事が多すぎて一々悲しんでいたらやってられない。 楽しく笑い飛ばすしかない」だそうである。
楽曲の詳細は後半に掲載したのでそちらをご参考頂きたい。
LAMENTOの変遷(今と昔と)
ブラジル音楽の色々なジャンルで、そして様々なアレンジが施されて 「LAMENTO」は歌い継がれている。その様子をご紹介しよう。
ピシンギーニャが演奏する オリジナル版 ラメント
-- PIXINGUINHA --
ピシンギーニャがテナーを演奏するオリジナルのインスト版。
20世紀初頭の録音だと思われます。名曲はどんなアレンジ、録音でも光り輝いています。哀愁漂う「ラメント」 お聴きください。
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Lamentos .... ( Choro) .... Pixinguinha
ジジ・ポッシが歌う現代ショーロ版 ラメント
-- ZIZI POSSI --
私的にお気に入りの女性ボーカリスト ジジ・ポッシ。ピアノや
クラリネットによって少しジャージーなショーロに仕上がって
います。彼女の美しく透き通るヴォイスをお楽しみください。
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Lamentos - Zizi Possi You Tube
シコ・ピニェイロのアバンギャルドな ラメント
-- Chico Pinheir --
ブラジル・ジャズギタリストの若き先鋒シコ・ピニェイロ。少し前衛的なアレンジのラメントです。歌うは タチアーナ・パーハ(Tatiana Para)、バックは初期の「トリオ・コヘンチ」。
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Som Brasil | Chico Pinheiro | Lamento
マルコ・ぺレイラの現代風バラード
-- Marco Pereira & Paulo Sergio Santos --
正統派ギタリストの名手 マルコス・ピレイラとショーロで活躍するクラリネット奏者パウロ・セルジオ・サントスによるデュエット演奏。マルコスのコードチェンジで大胆に変身した ラメント。
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*LAMENTO* - *PIXINGUINHA.* *( Instrumental )*
ジャズ プレイヤー レオ・ガンデルマン ラメント
-- LEO GANDELMAN --
ブラジル・ジャズ シーンで活躍するSAXの名手 レオ・ガンデルマンのジャズ演奏。シャレたボサノヴァ アレンジの
ラメント。
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Lamento - Leo Gandelman - DVD Ao Vivo
注)写真に用いたアーティストのC/Dにはご紹介するテイクは含まれていないものもあります。
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ラメント(LAMENTO) コード譜
シコ・ピニェイロのテイクを参考にアレンジしてみた(Key=E)。
ドミナントモーションを使ってジャズ風にリハモナイズした。
コーラスの冒頭部分はアンサンブルによってタイムが異なる為原曲の
コードを記載した。 この部分はそれぞれで工夫して貰いたい。
・指板上の 数字
2拍子4分音符
・指板下の丸数字はフレットの位置。
・○は開放弦。
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MPB4の関連映像
MPB4は4人とも楽器を操り、演奏しながらダイナミックなヴォイシング゙を見事にこなすコーラス・グループ。
高度な音楽性をバックボーンに限りなくポップなサウンドを楽しませてくれる素晴らしいアーティスト達だ。
オスカー・カストロ・ネヴィスと共演する近年の映像。ジョビンの大作
「想いあふれて」(chega de saudade)をご紹介してお別れしよう。
Chega de Saudade by MPB4 & Oscar Castro Neves
公開サイト検索キーワード : mpb 4 - chega de saudade
最後に
今やポップスは巨大な音楽産業と化している。
星の数ほど新たな曲が生まれ、多くが歴史の波に消えていく。
そんな現代にあって、時代を超え100年近くもの間
ブラジル人の心を捉えて離さない
ピシンギーニャの名曲 「LAMENTO」をご紹介した。
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