ホセ・ロベルト・ベルトラミ
ブラジル近代音楽の父。 彼の遺産を現代に蘇らせた男達
ブラジル・フュージョンの父と言っていいであろう。
作曲家、演奏家でもあるJose Roberto Bertramiは惜しくも
2012年66歳の若さでこの世を去っている。
現代のブラジリアン・ミュージックに最も多大な影響を与えた彼の遺産を
新たに蘇らせた連中がここにいる。
ネイ・コンセイサ(Bs), レオナルド・アムエド(Gt)、ルイス・オタビオ(Ky)を中心とする、現代のブラジリアン・ジャズをリードするトップ・アーティスト達だ。
今回は「Jose Roberto Bertrami」を紹介するとともに、継承者である彼らにスポットをあてる。
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彼らのクールなサウンドを聴きながら話を進めよう
映像サイトの検索キーワード:
Triagem O Melhor de Jose Roberto Bertram
名曲、名演というものは古さを全く感じさせない。
実にヒップな奴らだ。
余談になるがネイの毛糸の帽子が可愛らしい。
Victor Bertrami の 最新アルバム
アルバム:「Victor Bertrami SIMILAR」
解説
2013年に発表されたベルトラミの息子「Victor Bertrami」のリダーアルバムである。全て父ベルトラミによる曲で占められたライブ収録盤。ゲストで ネイ・コンセイサ(Bs)、 レオナルド・アムエド(Gt)が参加している。
Jose Roberto Bertrami
少し長い名前であるが「ホセ・ロベルト・ベルトラミ」と読む。
ポルトガル語では「ホセ・ホベルト・ベルトラミ」とも発音する。
1970年代にウェスト・コーストで流行したクロスオーバーと呼ばれた
時代を知る、往年のジャズファンの方であればご存じの方も多いであろう。
ベルトラミは1960年代に アレッサンドロ・マレイロス(Bs), イヴァン・コンチ(Dr)の3人からなる歴史的とも言えるAzimuth(アジムチ)と呼ばれるバンドを結成する。
Azimuthはパルチードアウトと呼ばれるブラジル独特のリズムと、ジャズ、ポップスミュージックを融合した新しい音楽を創造した。
現代ブラジル音楽の租といっても過言ではない。
代表作である「Voo Sobre o Horizont」や「Jazz Carnival」などの
大ヒット曲により当時の世界を席巻した。
今回ベルトラミが初めてという方もどこかで聞いているかもしれない。
彼はその後ホタ・モラエス(Ky)に後を譲り、アジムチを離れる事になるが、後も音楽活動を続け2012年に66年の生涯を終えている。
彼が近代ブラジル音楽に与えた影響は多大だ。
その音楽は息子のビクター・ベトラミに引き継れ、今回映像で紹介する、ネイ・コンセイサ, レオナルド・アムエド、ルイス・オタビオといった今では世界を代表するアーティスト達をもインスパイヤーし続けている。
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ベルトラミの名曲を映像で紹介しよう
動画サイトにおける一連の曲のタイトルにある「O Melhor de Jose Roberto Bertrami 」とは"最高のベルトラミ"という意味である。
ブラジルで生まれ、今では世界を代表するトップ・アーティスト達の青春
時代を育み、尚も尊敬を惜しむ事のない「ベルトラミ」の作品をネイ・コンセイサの編曲により現代に蘇らせた。
そんな映像集である。
このユニットにおける音源はリリースされていない。
映像を紹介しながら、ミュージシャン達にも触れていく。
Dear Limmertz
もう一つの映像を解説していこう。
映像サイトの検索キーワード:
Dear Limmertz O Melhor de Jose Roberto Bertrami
この曲のAzimuthによるオリジナルは1980年にリリースされている。
オリジナルではその印象的なテーマが繰り返され、ベルトラミのソロが軽めに最後を飾るといったシンプルな構成。
ここではイントロは原曲通りのベースソロから始まり、いかにもベルトラミらしいポップなテーマへと導かれる。
ネイ・コンセイサ (Bs)
イントロのスラップはコンセイサにしてみれば大した事のないはずだが、
なんとも表情に力が入っている。青春時代が蘇ったのであろうか。
横でビートをとるアムエドにもシビレてしまう。
サビの部分を唄うコンセイサの表情は若き少年そのものである。
勿論彼の喉を聴くのは初めだ。
アドリブに突入する際、順番を間違ってキーボードのオタビオが先に入ってしまうが、「大丈夫かお前ら?」的な表情で見渡すコンセイサの顔も面白い。映像ならではである。
ちなみに 彼は「Nosso Trio」と名付けられた、ネルソン・ファリア(gt)を中心とした驚異的なインスト・バンドのメンバーである。「Nosso Trio」については別コーナーで詳しく紹介する。
レオナルド・アムエド (Gt)
オタビオのフライングは普通NGであろうが、そんな事は気にもとめずアムエドのイカしたギターソロが始まる。現在私が最も好きなウクライナ出身のギター奏者。
ロックタッチのフレーズの合間に時折ジャージーなフレーズが顔を
見せる。何と言ってもこのドライブ感がたまらない。
レオナルド・アムエドの記事
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ルイス・オタビオ (Pf)
フルーゲル・ホーンの後に続き、ルイス・オタビオのソロが始まる。
キーボード奏者にはよく知れた、シンセ「Nord」を使用している。
聴いて分かるとおり、ハービー・ハンコック、パトリース・ラッシェンの
流れを汲む正当派ジャズ・ピアニスト。
シンプルなコード進行にモーダルなアウト・フレーズを自在に展開
している。本人の表情も生き生きとしており、実に躍動的な姿だ。
彼は生まれつき目に障害を持っており、若い時分からその天賦の才能が注目されていた。
これらの強豪メンバーに参加し、サウンド、ソロで主導権を握る彼の姿は
実に勇気を与えてくれる。今後の彼の活躍が期待される。
ビクター・ベルトラミ (Dr)
冒頭で紹介したベルトラミの息子である。父の七光りで参加出来るほどこの連中は甘くない。
ここでは控えめなサウンド重視のドラムに徹しているが、なかなかの実力者だ。
スタジオ・ワークを始め自己のグループでも精力的に音楽活動を展開している。
ネイ・コンセイサ ユニットの演奏
その他、ベルトラミの代表曲をズラリとご紹介しよう。
検索キーワード:
Broken Key O Melhor de Jose Roberto Bertrami
Voo Sobre o Horizonte O Melhor de Jose Roberto
Partido Alto 2 O Melhor de Jose Roberto Bertrami
Partido Alto O Melhor de Jose Roberto Bertrami
最後に本物のベルトラミの生前の演奏映像を紹介する。
検索キーワード:
Azymuth | Partido Alto (Jose Roberto Bertrami) Instrumental
おすすめ 関連作品
アルバム:「Vento Bravo」
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解説
ネルソン・ファリア、ネイ・コンセイサ、キコ・フレイタス等が結成した伝説のトリオ「Nosso Trio」2006年の作品。ジョビン,ジョアン・ボスコを始めとする様々なブラジルミュージシャンの曲をインストウルメンタル演奏で取り上げている。ある意味でブラジル音楽のクウオーリティーの頂点を示す作品。ブラジルのみならず世界中に衝撃を与えた。特にドラムのキコ・フレイタスの技術は驚異的で今日世界を代表するトップ・ドラマーの一人である。パルチードアウトを叩かせたら彼の右にでる者はいないであろう。ブラジルファンにのみならず必聴の作品。
おすすめ 映像
Nosso Trio 時代の ネイ・コンセイサの演奏を最後にご紹介しよう。
Nosso Trio
世界中に衝撃を与えた「Nosso Trio」の演奏。
ネイ・コンセイサベースソロは文句なし。
検索キーワード:
Nosso Trio - Brooklyn High
最後に
ブラジルは長い間貧しさを経験した国である。そんな彼らにとってカーニバルに代表される「ダンス」や「音楽」は生きていく上で欠かせない文化であった。サッカー同様、彼らにとって音楽は国技であろう。
今回紹介したミュージシャンを始め、彼らの多くが自国の大切な財産で
ある「音楽」を教育現場やチャリティー活動を通して普及に努めている。
世界を渡り歩けばビッグ・マネーを手にできる, そんな彼らがである。
来日する度に気軽にサインに応じてくれ、演奏が終わると客席に交じって
食事をほうばる、飾らない、素朴な姿を幾度となく見てきた。
そんなブラジレイロ達の奏でるブラジル音楽が飯より好きである。
今後もどしどし、ブラジル音楽を紹介していきたい。
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