インセンサテス / ハウ・インセンシティヴ|切なくも美しい永遠の別れ

 

ジョビンの名曲

 インセンサテス (INSENSATEZ)
    英題: How Insensitive
    邦題: お馬鹿さん

 

このサイトでは本ボサについて数多くご紹介してきたが、今回はジャズ・ボサが最も似合う ジョビンの名曲をご紹介しよう。1961年ヴィニシウス・ヂ・モライス、アントニオ・カルロス・ジョビンの黄金コンビによる不朽の名作「インセンサテス」。まずは私の一番のおすすめ、ステイシーケントによるテイクをご紹介しよう。

ステイシー ケント
(The Changing Lights)
1996年、31歳デでビューを果たした遅咲きのアメリカ人歌手。過去2度の来日をはたし、本年(2018)9月に来日を控える、日本でもお馴染みの人気歌手。技巧派歌手と一線を画すキュートなシルキーヴォイスが最大の魅力。ブラジル音楽を愛する彼女は本場ブラジルのアーティスト達と度々共演、アルバム制作重ね 2013年その集大成とも呼べる本作品
「The Changing Light」 を発表。ブラジル音楽を敬愛する彼女のハートが詰まった最高傑作の1枚。


ステイシーが歌う「How Insensitive」 by The Changing Light

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MPBが誕生した時代のリオの風景

 

 

 インセンサテスにまつわるハプニング

 


この曲を初めて聴いたのは1970年半ば頃だったか、勿論ジョアン・ジルベルトやブラジルの歌手ではなくジャズ演奏家のインストゥルメンタルだったと思う。大変シンプルで美しい旋律に加え、ジャズ的要素を備えたこの曲に甚く感動した事を憶えている。しかし、度々この曲に触れるにつけ「この曲どこかで聴いた憶えがあるな」と何かモヤモヤとした気分がしばらく続いた。20年が過ぎた頃、アメリカのギタリスト ジーン・バートンチーニ(GENE BERTONCINE)のアルバム「Jobim - Someone to Light Up My Life」に収録されていたインセンサテスを聴いた瞬間、あれ?このイントロは何だろう思い、クラシックに詳しい友人に訊ねたところ、「24のプレリュード前奏曲集第4番ホ短調」という何とも格調高いタイトルのショパンの作品だと言う事が判った。ジーン・バートンチーニはインセンサテスの導入部にショパンのプレリュードを挿入していたのであった。ご参考までにアルゼンチンの女流ピアニストマルタ・アルゲリッチの名演をご紹介しよう。

 

公開サイト検索キーワード
Martha Argerich - Chopin Prelude - Op.28 No.4

 

 

詳しい経緯については不明だが、後にジョビン自らショパンに啓発されこの曲が生まれた事を語った。並みの音楽家では口にできない事をさらっと言いのけてしまうところにジョビンの大らかさというか、大物ぶりが伝わってくる。ショパンと肩を並べる作曲家を自負するジョビンの逸話として後世に語り継がれるだろう。

 

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 インセンサテスの楽曲について

 


他のページでもお話ししたように私は歌詞については全く無頓着である。歌も一つのインストゥルメンタルとして、歌詞は勝手な事をイメージしながら聴いている。なのでダメなメロディに素晴らしい歌詞が乗っかっても音楽にはならない。だがこの曲のメロディーはジョビンのレパートリーの中でもピカイチと言える。僅か32小節の楽曲が心の底から湧き出た自然なメロディが一分の隙もなく完結している。Dから上のCまでの7度のレンジでメロディーが書かれており、3度以上の跳躍が1か所もない。代わりにクロマチックな旋律が随所に散りばめられており、この繊細なメロディーが主人公の揺れ動くデリケートな情感を表現している。愛の破局をテーマにした曲だが7Thコードとディミニッシュが織りなす空気感からは「後には戻れない後悔と絶望」といった情感が余すことなく伝わってくる。今回掲載したコードはオリジナルから少し離れ、ジャズ風にアレンジしてみた。冒頭の短2度を含む和音はブラジル演奏家が好んで使うコードなので参考にしてほしい。最後から2小節目ではオリジナルのトニックの代わりに4度のB♭△を代用し、浮遊感を表現してみた。ジョビンが歌うオリジナルのキーはBmだがインストゥルメンタルでよく使用されるDmを選択した。管楽器の扱いやすいキーに変調したのだと思うが ギターにとってはDmが最も美しいマイナーキーだと感じている。

 


・指板上の 数字は2拍子、4分音符の拍数。
・指板下の数字はフレットの位置。
・○は開放弦。

 

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お気に入りの映像

 

アントニオ・カルロス・ジョビン

公開サイト検索キーワード:Insensatez - Tom Jobim

 

トム・ジョビンの歌は上手いとか下手とかいう次元で語る事が出来ない。作曲家であり詩人でもある彼の繊細で情感溢れる歌いっぷりは何度聴いても感動させられる。まるで物語を語りかけるような、そんな映像を篤とお楽しみあれ。

 

 

アンドレア・モティス

公開サイト検索キーワード:2012--"How Insensitive" ANDREA MOTIS

 

スペイン バルセロナにあるジャズの英才学校として世界的に有名な サン・アンドレウ市立音楽学校 出身のアンドレア・モティス。トランペット片手に歌う様は女性チェット・ベイカーの呼び声も高い。 あどけない少女のクールで異次元の歌声をお届けしよう。トランペットペット ソロが無いのがちょっと残念。

 

 

 

フェルナンダ・タカイ

公開サイト検索キーワード:Fernanda Takai - Insensatez (ao vivo)

 

女性ヴォーカルコーナーでもご紹介した、ブラジル日系三世の人気歌手 フェルナンダ・タカイ。クラシカルな出で立ちの彼女が歌う、新感覚の「インセンサテス」。8ビート&モノクロ ヴァージョンでお贈りします。

 


 

 

最後に

 

 

何故、こんなシンプルなメロディがこれほど人の心に突き刺さるのだろうか?全くわからない。

 

歌の得点を競い合うカラオケボックスの現場では、レンジが広く跳躍の激しい難曲が好まれるそうで 作曲家も作詞家もそこを狙って曲をつくるそうであるが、開いた口がふさがらない。

 

ところでタイトルについてだが ブラジル語の INSENSATEZ とは 「無神経な」とか「鈍感な」という意味だそうだ。

 

英題の「How Insensitive」も原題と同様だが、邦題はどうかと言うと
「お馬鹿さん」で通っているみたいだ。

 

シェガヂ・サウダーヂの邦題「想いあふれて」の出来と比べて、オシャレなつもりなのか
妙に軽すぎて正直これはダサイと思う。

 

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