イリアーヌ・イリアス | 裸足の天才女流ピアニストの名盤

 

イリアーヌ・イリアス

 

裸足の女流ピアニストが生んだ傑作

 

 

ジャズの世界にも歌を唄う演奏家は数多くいる。

 

最も著なシンガーは チェット・ベーカー であろう。

 

その他、ジョージ・ベンソン、オスカーピーターソン、クリス・ボッティ、グラディー・テイトなども有名である。

 

彼らに共通しているのは皆一流の演奏家である事だ。

 

もとより音感、リズム感はずば抜けており、本業の歌手と違い

 

力む事のない彼らの歌声は実に心地よい。

 

未だにジョージ・ベンソンが歌手だと思っている方もいるようだ。

 

今日登場する女性も例にもれず、超一流の演奏家である。

 

ブラジルが生んだ裸足の天才ピアニストイリアーヌ・イリアス

 

彼女の代表作「 Sings Jobim」を紹介する。

 


アルバム : Sings Jobim
1998年に発表されたジョビンの名曲を集めた作品。彼女の飾らない素朴な歌で全編綴られている。単なるボサノバではなくイリアーヌのアレンジにより高質なブラジリアン・ジャズに仕上がっている。ソフィストケイトされたサウンドは聴き心地もよく、初めてジャズ、ブラジル音楽を聴かれる方にもオススメのアルバム。サイドマンはマイケル・ブレッカー、マーク・ジョンソン、オスカー・カストロ・ネヴィス、パウロ・ブラガといった最強メンバー。イパネマの娘、ジサフィナードなど有名曲を含む全17曲を収録。中でも「ザ・コンチネンタル」はサントリーのCMソングにも取り上げられた事でも有名。どんなシチューエーションにもマッチしてしまう、イリーアヌ・イリアスの決定版。


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イリアーヌのプロフィール

 

詳しくは演奏家コーナーに譲るとして、ここでは簡単に触れておこう。

 

イリアーヌは1960年サンパウロに生まれ、今年55歳を迎える。

 

オペラ歌手の祖父母、ピアニストの母という恵まれた音楽環境に育った。

 

音楽学校に入学するものの15歳で卒業、その後講師を務める傍ら
腕を磨き20才にしてアメリカに渡った。

 

当時ジャズシーンの最先端であった "Steps Ahead" に参画し、

 

独立後は1985年に発表したアルバム 「アマンダ」 を皮切りに

 

今日に至るまで20作以上のアルバムを発表している。

 

現在もアメリカを拠点として活躍中である。

 

イリアーヌの人生を最新映像から振り返ってみる

 

ブラジル土着の音楽から出発し、アメリカのジャズ・シーンを渡り歩き、
結婚、出産、離婚、を経験し人間的にも成長したイリアーヌ。

 

その彼女の遍歴を辿るかのような感動的なライブ映像がある。

 

早速聴いてみよう。

 

映像検索キーワード:Eliane Elias - Desafinado Sandro lins

 

曲は彼女が生まれる1年前、1959年に発表されたジョビンの
名作 Desafinado (ジサフィナード)。

 

おそらくイリアーヌも少女時代に聴いて育ったであろう。
彼女の出発点となった、純粋なボサノヴァ スタイルで始まる。

 

中盤からは4ビートのジャズに変身する。
彼女がアメリカに進出し、ジャズに没頭した時代だ。

 

更に彼女の伴侶である、マーク・ジョンソンのベースソロに繋がる。

 

最後は、彼女が積み重ねてきたスタイルであるブラジリアン・ジャズ。

 

30代のピアノトリオにおける彼女の表情は鬼気迫るものがあった。

 

これほど、笑顔に満ち溢れた彼女の映像は珍しい。

 

マーク・ジョンソンの笑顔もまた然りである。

 

ここでは単に客に向かって演奏を披露しているだけではない、

 

長い経験を積み、その道を極めたアーティストだけが味わえる

 

音楽の原点、"楽しさ" の境地に辿り着いた。

 

そんな事を感じさせる映像である。

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アルバム Sings Jobim について

 

ジョビンの名曲を美しく、才能豊かなイリアーヌが彼女の鮮やかなアレンジと唄によって、装いを新たに現代に蘇らせた。

 

ブラジル音楽、ジャズ・ミュージックを極めたイリアーヌの集大成ともいえるアルバムである。

 

強豪揃いのバックミュージャンの演奏は抑え気味ではあるが、キラリと光るいぶし銀の連続・・・

 

時折見せるマイケルのシャレたオブリガードは、彼女の囁くような唄を見事に引き立たてている。

 

高度な演奏の中にも、プレイヤーのリラックスした雰囲気がそのまま

 

リスナーに伝わってくる、

 

イリアーヌの音楽を語る上で欠かす事の出来ないアルバムである。

 

<曲目リスト>

 

1. Garota De Ipanema
2. Samba De Uma Nota So
3. So Danco Samba
4. Ela e Carioca
5. Anos Dourados
6. Desafinado
7. Falando de Amor
8. Samba do Aviao
9. A Felicidade
10. Por Toda a Minha Vida
11. How Insensitive
12. Esquecendo Voce
13. Pois e
14. Amor em Paz
15. Modinha
16. Caminhos Cruzados

17. The Continental (Bounus Track )

 

参加アーティスト 

Michael Brecker

あらためて解説する必要もない。20世紀最高のテナーサックスプレイヤーである。ジャズに限らず彼が参加したアルバムは数知れない。私が初めて聴いた演奏は1972年に発売されたジェームス・テイラーのアルバム「One Man Dog」に収録されている「寂しい夜」のエンディング・ソロだった。それ以来のファンである。彼は9年後の2007年に惜しくも57歳の若さでこの世を去った。

 

Mark Jhonson

ビル・エバンストリオの最後のベーシストである。エバンスはこのトリオを相当気に入っていたようで、治療をも惜しんで没頭した挙句、死期を早めたとの逸話がある。イリアーヌの現在の夫であり、結成当初はイリアーヌからサンバのリズムを鍛えられたという。現存するジャズ・ベーシストのバーチュオーゾである。

 

Oscar Castro Neveice

オスカーについては別のコーナーで詳しく紹介する。彼も2013年に77歳の人生を終えている。ここでも彼の軽快なバッキングが聴かれる。彼が生きていればイリアーヌはオスカーを決して手放さなかったであろう。

 

Paulo Braga

ジョビンを始め、トニーニョ、ジャバン、渡辺貞夫といった世界中のトップ
アーティストをサポートしてきたブラジル・パーカッショニスト界の重鎮。
このアルバムでも彼らしいタイトなリズムを展開している。

 

おすすめ 関連作品

 


アルバム : Made in Brazil

 

2015年に発売された2年ぶりの彼女の新作である。ブラジルの名曲と彼女のオリジナルを織り交ぜ、アレンジも今までになく都会的なセンスに溢れる。ヴォーカル・グループ テイク6を加えた「三月の水」は超オススメテイク。娘のアマンダを迎え、ロンドン・シンフォニック・オーケストラが7曲も参加するといった、今までにはない厚みのあるジャケット通りのゴージャスなサウンド。自信をもってお勧めする。


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おすすめ 映像

 

Steps Ahead

Steps Ahedで演奏する渡米したばかりのあどけないイリアーヌ
検索キーワード:
MSteps Ahead in Europe 1983 - Islands

 

Heineken Concerts 96

大物マーク・ジョンソン、ジャック・ディジョネットを従え、ストレートジャズを披露。
検索キーワード:
Eliane Elias, Jack Dejohnette e Marc Johnson - Bye, Bye, Blackbird - Heineken Concerts 96

 

Waltz For Debby

彼女が崇拝するビル・エバンスの不朽の名作「Waltz For Debby」を演奏する2008年の映像。ドラムは自己のトリオのメンバーでもある名手アダム・ナスバム。歌も交えた最高の演奏である。
検索キーワード:
Eliane Elias - Waltz For Debby

 

最後に

 

私は女流ピアニストが好きである。

 

単に美しいからではなく、女性特有のしなやかさ、几帳面さが

 

ピアノのタッチに現れ、とても心地よいからだ。

 

その中でも最高峰のピアニスト、イリアーヌと彼女の代表作

 

「Sings Jobim」をご紹介した。

 

記事を投稿するにあたって、もう一度聞き直してみた。

 

ここのところ、ご無沙汰していたが次回は必ず聴きに行こう。

 

イリアーヌについては今後も触れていく。

 

乞ご期待

 

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オアスカー・カストロ・ネヴィスの記事はこちら

 

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