ホーザ・パッソス(Rosa Passos) | スカートをはいたジョアン・ジルベルト 名曲を一挙にご紹介します

 

ホーザパッソス (Rosa Passos)

 

スカートをはいたジョアン・ジルベルト

 


ホーザ・パッソスはしばしば "スカートをはいたジョアン・ジルベルト"
と称される。誰が考えたキャッチか知らないが実に見事に彼女の音楽性を捉えている。彼女の歌声はジョアン・ジルベルト同様、1フレーズを聴けばすぐに彼女と分かってしまうほど個性豊かだ。ギターも決してお飾りではなく本物のバチーダを演奏する。このキャッチはジョアンを敬愛してやまない彼女にとって最高の賛辞かもしれない。ブラジル音楽はもとよりジャズからワールド・ポップスに至るまで彼女の世界で包み込んでしまう。

 

ブラジルを代表する女流アーティスト ホーザ・パッソス(Rosa Passos)
をご紹介しよう。

 


<プロフィール>
出生名:
Rosa Maria Farias Passos
出生日:
1952年4月13日 生まれ 64歳(2016年現在)
出生地:
バイーア州 サルヴァドール
経歴
父親の勧めで5歳の時からピアノを始める。11歳の時ジョアン・ジルベルトに感銘を受けギターを手にする。10代で地方のテレビ局に出演。その後地方のフェスティヴァルでライブ活動を始めるが20歳で成婚。3人の子供の手が離れた7年後活動を再開。79年ファーストアルバム「ヘクリアサウン」でデビュー。


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おすすめのベスト・テイク

 

 

オムニバス盤を含む20枚以上の作品を発表しているが、その一つ一つがテーマや特徴をもっており、単に名曲を集めたといった安易な作品、駄作は1枚も無い。敢えてベストアルバムを選ぶとすれば96年に発表された「PANO PRA MANGA」を誰もが挙げるだろう。

 

90年代は彼女が40歳を迎える、人間、音楽家として最も充実した黄金期といえる。リズム感溢れる、はち切れんばかりの歌声を聞かせてくれる「Samba com Pressa」をご紹介しよう。

 

検索キーワード:
Samba com pressa - Rosa Passos

 

 

ホーザ・パッソスを知るエピソード

 

 

ブラジル音楽にのめり込み、ガット・ギターも何とか板についてきた98年頃だったと思う。月刊誌「Jazz Life」でテナー奏者がギタリストを募集していたのを見つけ早速彼の自宅に赴いた。

 

そこは六本木にある見たからに超高級マンションで、いきなり地下室に通された(余談だが彼の生業は医者でありそのマンションは親から譲りうけたもので、自分は階上のペント・ハウスに住んでいた)。その地下室はドラム、キーボードから録音機器に至るまで全て揃っており、おそらく1000枚はゆうに超えるL/PやC/Dの音源が散乱していた。

 

いきなり渡された譜面はョビンお馴染みの曲「3月の水」だった。当時はエレガット用のアンプは珍しく、エレガットには相性のいいベースアンプを使用していた。真空管仕様のフェンダーベースアンプを見つけ早速シールドを通しスタンバイした。

 

この曲をインストで演るのはどうかな(?) とイヤな空気を感じつつ,、始めた演奏は予想通り全くダメだった。その後2、3曲軽く流して無事お開きとなったが、テナーマンは帰りしなにお礼の印にと言って1枚のC/Dを私に差し出した。

 

ホーザ・パッソスの「O Melhor De Rosa Passos」、私が最初に手にした彼女のアルバムだった。ホーザの名前も知らない頃だったが、収録されている「3月の水」が実に素晴らしく、続く「Amor Em Pas」(英題 Once I Loved)ではルーラ・ガルヴァオンの繊細なコードワークにビックリ仰天した事を憶えている。

 

当時ジャズはともかく、中南米音楽は今と違い圧倒的に情報量が少なかった。1人のアーティストと出会えるかどうかは運次第で、へたすると1年、2年も後になって知る事になる。彼のお蔭でルーラ・ガルヴァオン、トリオ・コヘンチといった素晴らしいブラジレイロ達をいち早く知る事ができた。

 

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その思い出の2曲をご紹介しよう。

思い出のアルバム "O Melhor De Rosa Passos"



現在は「Best of Rosa Passos 」のタイトルで販売されているオムニバス盤。多くが彼女の最高傑作とされるアルバム「CURARE」,「PANO PRA MANGA」,「FESTA」から編集されている。ホーザ・パッソスの入り口として聴きたい方にとってはおすすめのアルバム。ジョビン、アリ・バホーゾ、イヴァン・リンス、ジャヴァン、エドウ・ロボ等の名曲を独自のアレンジ、演奏で楽しめる。特にお勧めは「ブラジルの水彩画」、「三月の水」、「E Luxo So」など。

 

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アルバム "O Melhor De Rosa Passos" から「三月の水」

ブラシ&ウッドベースをバックにホーザがフェイクしまくります。よくよく聞くと演奏は彼女のギターとベース、ドラムのトリオ演奏。今日初めて気付きました。
検索キーワード:
Rosa Passos - Aguas De Marco

 

アルバム "O Melhor De Rosa Passos" から「AMOR EM PAZ」

ルーラ・ガルヴァオンのコードアレンジ、コードワークが絶品です。
検索キーワード:
Rosa Passos - AMOR EM PAZ - Antonio Carlos Jobim

 

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おすすめのアルバム ベスト3

 

 

彼女の作品の中から3枚選ぶのは容易ではないが、独断でおすすめのアルバムをピックアップしてみた。収録されているご機嫌なテイクも併せてご紹介しよう。

PANO PRA MANGA


1996に発表されたホーザ・パッソスファンなら誰もが挙げる定番のアルバム。アルバム「FESTA」(1993)と並び1990年代の最高傑作との呼び名も高い。彼女の歌声、ギターワークも最高のコンディション。アシストするバックミュージシャン達の演奏、アレンジなど全てにおいて文句なしの作品。暫く廃盤が続いたがブラジル盤がオリジナル・ジャケットで復刻している。



おすすめのテイク:Pano pra man
検索キーワード Pano pra manga Rosa Passos

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AZUL


全曲ジャヴァン、ジョアン・ボスコ、ジルベルト・ジルの名曲を取り上げ、エレクトリックな都会的アレンジで仕上げている(2002年発売)。オーケストラを含めたアレンジやバックミュージシャン達の顔触れをみても相当な力の入れようが窺える。ホーザの歌は言うに及ばないが、単なる彼女のリーダーアルバムの枠を超え、作曲者を含めMPBオールスターズの感がある。ルーラ・ガルヴァオンのエレクトリック・ギター、トリオ・コヘンチの強力なリズムも聴きどころだ。


おすすめのテイク:  Amor Ate o Fim
検索キーワード Rosa Passos - Amor Ate o Fim

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ホーザ・パッソス/ルーラ・ガルヴァオン アリ・バホーゾを歌う


ジョビン、ノエル・ホーザと並ぶブラジル音楽の父ARY BARROSO(アリ・バホーゾ)の曲を集めた作品(1999年発売)。全編アコースティックでジャージーなアレンジはジャズファンにも十分楽しめる。タイトルやジャケットからも伝わるように ルーラ・ガルヴァオン、ホーザ・パッソスの共同作品。ルーラのアレンジ、繊細なギターワークも楽しめる個人的には一番好きなアルバム。



おすすめのテイク: Faceira
検索キーワード Rosa Passos e Lula Galvao - Faceira

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ホーザを支えるバック・ミュージシャン達

 

 

ホーザ・パッソスの作品を裏で支えるバック・ミュージシャン達をご紹介しょう。ブラジル音楽を探っていくと日本ではさほど知られていない、とんでもない演奏家を発見する。その中でもホーザのバックは超がつく一流プレイヤー達だ。ご紹介するルーラ・ガルヴァオンは古くはイヴァン・リンスのユニットで、昨年は渡辺貞夫氏のジャパンツアーのメンバーとして来日している。

 

TRIO CORRENTE(トリオ・コヘンチ )は2014年にキューバのクラリネット奏者パキート・デリベラ氏と来日し、ブルーノート東京で公演している。
自己のトリオ演奏をはじめ ホーザ・パッソス、シコ・ピネイロ、レイラ・ピネイロ、マリア・ヒータなど数多くのアーティストのライブ、レコーディングに参加している。

 

Trio Corrente


Sesc Brasil の配信映像。4ビートからブラジル音楽に至るまで自由奔放な演奏を披露。シコ・ピネイロのバックで演奏する初代トリオ・コヘンチ。


Fabio Torres(p)
Paulo Paulelli(b)
Edu Ribeiro(ds)
Celso de Almeida (ds)


検索キーワード 
Trio Corrente | Programa Instrumental Sesc Brasil

 

Lula Galvaon


自己のトリオでブラジリアン・ジャズを演奏するルーラ・ガルヴァオン。ご覧の通り正統派のジャズ・ギタリストだが器用にもエレクトリック・ギターを用いたフュージョン・サウンドでも腕前を発揮している。ホーザが歌うジャヴァンの「Samurai」ではルーラならではのバッキングが聴ける。全てのテクニックに卓越した正しくブラジル音楽界のヴァーチュオーゾ。




検索キーワード 
Samurai - Rosa Passos

 

 

 

最後に

 

 

ホーザ・パッソスの最大の魅力は持って生まれた天性の声色と持ち前のリズム感、そして絶対音感を持つと言われる正確なピッチにある。彼女の音楽はやもすればライトなポップ・ミュージックとして聞き流されそうだが、実は幼年時代の音楽教育や飽くなき探求心の上に成り立っている。

 

ブラジルミュージックを長年支えてきた数少ない正統派の音楽家 
ホーザ・パッソスのほんの一部をご紹介した。

 

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