ケヴィン・レトー | ドリが手がけた 傑作 Bye Bye Black Bird

 

ケヴィン・レトー

 

ドリが手がけた 傑作 Bye Bye Black Bird

 

 

ドリ・カイミは独創的で繊細なハーモナイズを得意とするギター奏者。

 

アレンジャーとしても高く評価され、ガル・コスタ、ジョイスなどの
ビッグ・アーティストの作品を数多く手掛けている事でも知られる。

 

今回は彼が旧友ケヴィン・レトーの為に全編にわたりアレンジを担当
した力作。

 

Bye Bye BlackBird をご紹介する。

 


アルバム:「Bye Bye BlackBird」

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ケヴィン・レトーを知るきっかけとなったエピソード

 

26年前の斑尾ニューポート・ジャズ・フェスティバル。

 

セルジオ・メンデス ブラジル"89" のメンバーとしてケヴィン・レトーが
出演していた。

 

その当時はジャズにのめり込んでる時期で、MPBなどの分野はあまり
興味がなく、憶えている事と言えば

 

 セルメンの時は雨と風が強くてとにかく、まいった。
 ケヴィン・レトーはとてもキレイなお姉さん!
 ヒゲをはやした、強面のガット・ギターを弾くおじさんは誰?

 

当時はドリもケヴィン・レトーの名前すら知らずにいた。

 

フェスティバルも無事閉幕し帰路につくことに・・・。

 

暫くしてのフェスティバルがTVで放映される事を知り、ヒョットして自分が映っているかも・・急いで録画。

 

残念ながら映っておらず、

 

その後ビデオ・テープはしばらくお蔵入りとなる。

 

数年後ジャズから転向しブラジル音楽にハマっている頃、たまたまビデオテープを整理しよう思い一通りチェックしていると・・・・

 

あれ、こんなところにドリ・カイミがいる。しかも右側のボーカルはひょっとしてケヴィン・レトー?

 

それ以来このビデオは私のお宝となる訳だが、その後DVDプレーヤーが故障し、再生不能。

 

今ではDVDデッキも入手困難ですので、この動画が削除されない事を祈るばかりである。

 

セルジオ・メンデス ブラジル'89' にはケヴィン・レトーが8年間在籍し、
このユニットが一番気に入っているが、唯一存在するのがこの映像。

 

若き日のケヴィン・レトーをまずはお楽しみ頂きたい。

 

公開映像検索キーワード:
Sergio Mendes - Ultima Batucada in Madarao


 

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ケヴィン・レトー 「Bye ByeBlackBird」の紹介

 

フランク・シナトラやエラ・フィッツジェラルドの歌で往年のジャズファンにはおなじみのスタンダードがたくさん収録されている。

 

ケヴィン・レトーの4ビートが初めて聞けるかと思いきや、一部を除き
殆どの曲がブラジルポップス風に仕上がっている。

 

ジャズのオールドファンなら えー!「Ive Got You Under My Skin」って
こんな曲だっけ? と言う方もいらっしゃるかと思う。

 

まあ、そこは少し頭を柔らかくしてお聞き頂きたい。

 

他のケヴィンのアルバムも素晴らしいのだが、ポップス色が強くプレーヤー
との距離感をどうしても感じてしまう。

 

そんな不満を一気に吹き飛ばしてくれるのがこのアルバム。

 

ボーカルとプレーヤーが一体となって音楽をクリエートしている感がありありで、プレイヤーはケヴィンを引き立てつつもそのテクニック、持ち味を存分に発揮している。

 

ボーカル、アレンジ、演奏力のどれをとってもハイレベルな傑作!

 

特に私が気にっている曲をいくつかご紹介する。

 

「Bye Bye BlackBird」 おすすめの テイク

Conncentrate On You

公開映像検索キーワード:
kevyn lettau-blackbird-I Concentrate

 

私個人としてはこのアルバムのベストソング。

 

シナトラの歌で広くお馴染みのスタンダードナンバー。
と思いきや これ本当に「I Conncentrate On You」?と疑わせるドリの斬新なアレンジ。

 

イントロとエンディングのアイデアはジョビンの「Wave」から拝借。
ドリにとってはほんの洒落のつもだろう。

 

コーラスの終わりをマイナーにコードチェンジし都会的にリメークし、
ぐっと抑えたブリッジを経てサビのクライマックスに突入する時のケヴィンの絶唱ともいえる歌声は琴線もの。

 

続くサビではゾクゾクする位美しく、エアー感につつまれたブラジルサウンドに乗っかり、大人の雰囲気たっぷりにケヴィンが歌い上げる。

 

彼女の歌は文句なしの最高の出来栄え。

 

主役を本気にさせ120%魅力を引出させるドリのアレンンジ力にはホント、脱帽する。

 

Bye Bye BlackBird

公開映像検索キーワード:
Kevyn Lettau - Bye Bye Blackbird

 

この演奏は最もジャズ・フュージョンに近いアレンジ。

 

ドリは演奏に参加していないがトニックに#9thのコードを使うところなどはドリ得意の手法だ。

 

イントロはベースのジェリー・ワッツのギターを思わせるソロに始まりエレクトリックピアノが絡むといったスリル感あふれるユニークなアレンジ。

 

2コーラス目からはケヴィンは殆どフェークしており、堂々たるジャズ
ボーカルを披露している。

 

ラッセル・フェランテの間奏はテーマを軽いフェークぎみに流しながらも緊張感あふれるモーダルなソロを展開。ケヴィンの歌を引き立てながらインストワークでもしっかり彼の持ち味を発揮している。

 

ジャズだからと言って黒人歌手を意識し、歌をこねくりまわさないところが
ケヴィンの良さだ。

 

ありのままのケヴィンの声が実に美しい。

 

Lets Fall In Love

公開映像検索キーワード:
You kevyn lettau Lets Fall In love

 

エラ・フィッツジェラルドの歌で有名なスタンダード。

 

イントロはドリとのデュエットで静かに始まる。

 

全編にわたりパーカッションを含むクインテットにより力強く、かつ軽快にドライブしている。

 

コーラス冒頭のドミナント・モーションはドリお得意のアイデア。コーラスの最後はここでもマイナーに原曲をリメークし、続くコーラスにインパクトを与える、この手法もドリの真骨頂。

 

2コーラス目の頭はいきなりブルージーなコードチェンジ、ケヴィンもブルーノートでフェークし、しっかりと反応する。

 

ドリが全て描いた通りのシナリオで進行し、エンディングはエラへの敬意を感じさせるケヴィンのビーバップフレーズが飛び出す。

 

スタジオワークのフラストレーションの鬱憤をはらすかのようなジェリー・ワッツのベースが思いっきりドライブしている。

 

ケヴィンの澄みきったファルセット ボイスが美しい。

 

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ケヴィン・レトー を支えるミュージシャン達

 

この作品をバックで支える凄腕達を紹介する。

ラッセル・フェランテ (Pf)

「Yellow Jackets」の中心的存在。
1987年にはロベン・フォードと共に渡辺貞夫のバックとして来日、
演奏、アレンジを手掛けている。

ジェリー・ワッツ (Bs)

ウェストコーストジャズの本場ロスで活躍する実力派。
過去ドリやケヴィンらと来日した経験もあり、渡辺貞夫氏、ボビー・コードウェルらのバックでも度々来日している。

パウリーニョ・ダ・コスタ (Per)

リオ出身で、アメリカの西海岸に移住しロスでは売れっ子の
パーカッショニスト。リー・リトナーとの共演映像も発売され、
そのセッション数は数えきれないと言われるほどの強者。

マイク・シャピロ (Dr)

マイク・シャピロはブラジルファンならずともお馴染みのドラマー。
イヴァン・リンス、セルメンを始め多くのブラジルアーティストのバック
を務めている。ケヴィン・レトーのご主人でもある。

 

ちなみに パウリーニョ・ダ・コス、マイク・シャピロ、 ジェリー・ワッツはドリのリーダーアルバムにも度々参加している常連である。

 

おすすめ 関連作品

 

数あるドリのリーダーアルバムの中でもお勧めの作品である。

 


アルバム: Influencias

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ブラジルの古典、名曲を集め、ドリのハイセンスなアレンジで現代
に蘇らしている。

 

ノエル・ホーザの名曲のConvrsa de botequimではガルコスタが
ゲスト参加しており、

 

和気藹々とした雰囲気の中にも彼のアレンジが光彩を放っている。

 

コードアレンジを研究したい方にはFeceira, Berimbau, Desafinado
などが格好のテイク。

 

彼の作品の中では難解な部類ではなく、どなたにでも聞きやすく、
楽しめるアルバムだ。

 

おすすめ 映像

 

最後に参加ミュージシャンたちの映像を紹介する。

ケヴィン・レトー

ジョアン・ドナードの曲「NANA DAS AGUAS」をポルトゲースで歌う
検索キーワード:
KEVYN LETTAU "NANA DAS AGUAS" YouMoreTv USA

 

ドリ・カイミ (gt)

アルバム「Chinema」にも収録されているアニメ映画 ピンク・パンサーのテーマ曲をドリ風にアレンジしたライブ演奏。
彼はアニメのテーマソングでもいい材料だと思ったらすぐ料理してしまう。
検索キーワード:
Youtube Dori Caymmi | Pink Phanter (Henry Mancini)

 

ラッセル・フェランテ (pf)

1987年の渡辺貞夫氏のライブで演奏するフェランテ。
ソロはフィーチャーされていないがアレンジはフェランテであろう。
検索キーワード:
ROUND TRIP Sadao Watanabe

※脱線するが、渡辺氏、ロベン・フォードのソロが圧巻だ。

 

ジェリー・ワッツ (bs)

ドラムのラス・ミラートリオでの演奏。ここではアップテンポの4ビートを演奏している。
検索キーワード:
Youtube Arrival Featuring Russ Miller, Rick Krive and Jerry Watts


 

パウリーニョ・ダ・コスタ (per)

リー・リトナーと共演した映像。13インチの大きなパンデイロソロが必聴。
検索キーワード:
Lee Ritenour with Paulinho da Costa Bahia Funk

 

マイク・シャピロ (dr)

イヴァン・リンスとの共演映像。
故オスカー・カストロ・ネヴィスの笑顔が懐かしい。
検索キーワード:
Legends of Jazz - Samba do Aviao

 

最後に

 

ケヴィンの歌声は本当に美しく、素晴らしい!

 

今回は彼女の歌を余すところなく捉えたアルバム
「Bye Bye BlackBird」を紹介した。

 

近年、アメリカのギターリストピーター・スプラーグとのアルバムも
制作しており現在も交流が続いているようである。

 

是非彼との共演を日本で実現して頂きたい。

 

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