オ・グランジ・アモール (O Grande Amor) | ジョビン作 深遠かつ普遍的なメロディーをもつ隠れた名曲

 

ジョビンの名曲

 オ・グランジ・アモール (O Grande Amor)
  邦題: 大いなる愛

 

 

今回ご紹介する曲「オ・グランジ・アモール」は1963年にアメリカで制作された、アルバム「GETZ/GILBERT」に収録されている、黄金コンビ アントニオ・カルロス・ジョビン&ヴィニシウス・ヂ・モライスによる作品。ジョビンの曲には「モジーニャ」に代表される小品とも言える作品がいくつかあるが、この「オ・グランジ・アモール」も同様 シンプルな構成の中に何ともいえぬ哀愁や深みを感じさせる。間違いなくジョビン名曲中の名曲と言ってよいだろう。「イパネマの娘」ほど知名度は高くないものの、多くの演奏家によって取り上げられてきた、ジョビンファンにはお馴染みの名曲をご紹介する。

 

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私の好きなテイクをご紹介しよう

シルビア・ロレンゾの歌から

この歌手についての詳しい情報はない。どうやらイタリアの方らしい。ジャズのスローバラッドをバックに流れるフリューゲルはチェット・ベイカーを想わせる。都会的なジャズ・サウンドとポルトガル語の歌がモノクロ映像と見事にマッチしている。

 

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O Grande Amor - Luz Negra 4et ( A.C. Jobim )


 

1966年 スタン・ゲッツのライブ映像 

これは驚きのレア映像。ジャズファンならお馴染みのビッグネーム揃いだ。特にゲイリー・バートンの若い頃の映像はめずらしい。1966年とあるのでゲイリー・バートン若干23歳の映像だ。

Tenor sax : スタン・ゲッツ
Vibes :ゲイリー・バートン
Bass : スティブ・スワロウ
Drums : ロイ・へインズ

 

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O Grande Amor Stan Getz, Gary Burton


 

坂本 龍一 MORELENBAUM2/SAKAMOTO 「CASA」から

熱烈なジョビンのファンである坂本龍一氏は2001年にから2002年にかけてライブ盤を含むジョビン・コレクションを発表している。その中の作品「CASA」に収録されているテイク。歌はパウラ・モレレンバウム、チェロは彼女のご主人であるジャケス・モレレンバウム。彼女は生前のジョビンのツアーバンドの一員としても有名で、日本を含む世界各国を訪問している。この「CASA」(家)と題するアルバムはジョビンの自宅を借り切って制作された。因みに映像に映る家はリオのイパネマにあるジョビンの旧宅。このテイクのように原曲の雰囲気を壊すことなく淡々歌うこのスタイルが一番気に入っている。

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Ryuichi Sakamoto Morelenbaum2 Casa (O Grande Amor)


 

スタン・ゲッツの名盤「Sweet Rain」から

1967年に録音されたアルバム「Sweet Rain」に収録されているテイク。チック・コリア、ロン・カーター、グラディー・テイトといったジャズ界屈指のプレイヤー達が参加した、数多いゲッツのアルバムの中でも名盤中の名盤。アルバム「GETZ/GILBERT」に続くテイクだが、彼のこの曲への強い想いが窺える。私が最初に聴いた「オ・グランジ・アモール」がこのテイクだった。

 

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O Grande Amor Stan Getz chickenzombie


 

ゲイリー・バートンのソロ演奏から

これも驚きの映像だ。何故か顔が映っていないが演奏を聴く限りゲイリー・バートンの演奏に間違いない。相変わらず完璧なテクニック、歌心を披露してくれている。ブラボー!

 

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Gary Burton Rare Vibraphone Solo on KPLU


 

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楽曲について

 

ジャズ演奏家による「オ・グランジ・アモール」では、原曲のコード進行に手を加えることが多い。9小節目のDm7の前にA7を挿入したり、3小節目のC7をGm7に置き換え、お決まりのアプローチを持ち込むわけだが、これをやると原曲の良さが半減してしまう。この曲の第一のポイントは9小節目のDm7にある。アーシーでマイナーなテーマが一転メジャーに変化する所だ。曇った空がぱっと晴れるような瞬間だがA7を手前に挿入する事でそのインパクト、良さが薄れてしまう。またこの曲のもう一つの魅力はブルースを基調とした独特なアーシー感覚にあるが、Gm7等のU-Xモーションがこの土臭さを希薄にしてしまう。言い換えればパンチのあるブラックコーヒーにミルクを入れてしまうようなものだ。初めて聴いたのが前述のゲッツによる「Sweet Rain」のテイクだったが、後にジョアン・ジルベルトやパウラ・モレレンバウムの歌による原曲を聴いた時、オリジナルの素晴らしさに甚く感動したのを憶えている。歌詞には触れなかったが、この独特な空気の中にモライス流「偉大な愛」が語られているのだろう。言語音痴の私にはそこが感じ取れないのが残念であるが、多くの演奏家がインストゥルメンタルで取り上げている事からも分かるように、メロディーだけでも十分に成立する名曲と言える。

 

コード進行

あまり弄らず、ほぼ原曲通りのコードを載せてみた。11小節目のC7はC△〜C7へとコードチェンジしたが特にC7一発でも問題ない。因みに「Sweet Rain」のスタン・ゲッツのテイクでは11小節目からC△、F△、B♭△へと4度進行を用いている。

 

・指板上の 数字は2拍子、4分音符の拍数。
・指板下の丸数字はフレットの位置。
・○は開放弦。

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アルバムの紹介

坂本龍一氏の「morelenbaum2/SAKAMOTOプロジェクト」による2枚の作品をご紹介する。2001年アメリカのビルボード誌の年間ベスト10に選ばれた秀作で、ジョビンの名曲が満載だ。ジョビンをこれから知りたいと思う方には打って付けのアルバム。

ご購入はこちらから

 

CD/MORELENBAUM2/SAKAMOTO/A DAY in new york/WPCL-10010

 

おすすめの映像

ゲイリー・バートン&小曽根真

本投稿を作成する過程でゲイリー・バートンのレア映像を発見してしまった。本題から脱線してしまうが、最も好きな演奏家の一人、ゲイリー・バートンと日本を代表するピアニスト 小曽根真氏との最高のデュエット映像をご紹介する。

 

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Gary Burton & Makoto Ozone ? Afro Blue


 

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小曽根真×ゲイリー・バートン2013年JAPANツアー「TIME THREAD」を語る


 

因みに、ゲイリーは本年(2017)をもって現役を退く。引退を記念し、小曽根真とのデュエットで日本縦断ツアーが開催された。全盛時代を彷彿とさせる演奏を目の当たりにし、只々彼の引退を惜しむばかりであった。

 

最後に

 

文学に於ける長編作品も読みごたえがあるが、短編小説の切れ味も捨てがたい。音楽に於いても同様、複雑で難解な大曲も数多くあるが、シンプル且つ完成されたメロディーには敵わない。

 

一般のリスナーからプロの演奏家に至るまで、等しく心を奪われてしまう。
普遍的な名曲「O Granede Amor」(邦題 大いなる愛)をご紹介した。

 

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